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【失敗事例】恐竜テーマパークにおけるインドミナス・レックスの脱走

映画ジュラシック・ワールドを観て、失敗事例報告書を思いつきました。感想代りに書いておきます(内容はちゃんと面白かったのでご安心ください)。

失敗事例:インドミナス・レックスの脱走

事例名称

インドミナス・レックスの脱走

代表図

省略

事例発生日付

2015年8月5日

事例発生地

コスタリカ イスラ・ヌブラル島

事例発生場所

ジュラシックワールド インドミナス・レックス飼育エリア

事例概要

飼育中の新種恐竜インドミナス・レックスが脱走し、飼育員2名を殺害した。また、捕獲のための部隊も全滅させられた。

事象

飼育中のインドミナス・レックスが防壁(コンクリート製)をよじ登って脱走したのではないかと勘違いした職員が、調査のために防壁内に入った。しかし、恐竜は熱カモフラージュができる性質を備えており、そのために熱源カメラに映っていないだけであり、実際にはまだ防壁内部に居た。管理センターは恐竜が防壁内部に居ることを現場に連絡したが、その直後に恐竜が職員3名に襲い掛かった。この段階で1人が死亡し、2人は防壁からの脱出を果たした。ただ、その脱出には恐竜用ゲートを利用したため、ゲートが完全に閉まりきる前に恐竜がゲートを破壊して脱走。その後、恐竜は職員1人を殺害し、島内の密林へと逃げ込んだ。

経過

事故当日、飼育エリアの防壁の安全性を確認するために調教員が訪れた。彼は本来ヴェロキラプトルの調教員であるが、その経験と知識を買われて運営責任者から直々に当該施設の安全性の確認を命ぜられて、ここを訪れたのであった。

そこで調教師はインドミナス・レックスの姿が見えないことを疑問に思い、普段インドミナス・レックスを監視している飼育員に熱源カメラでの確認を依頼した。

しかし、熱源カメラにはその姿が映らなかった。また、ここで調教師はインドミナス・レックスが内部の壁をよじ登ったと思しき真新しい爪痕を発見した。ここで居合わせた全員がインドミンス・レックスは壁をよじ登って飼育エリアから脱走したと勘違いした。そして、調教師と2人の飼育員は調査のために、無断で防壁内部に立ち入った。また、護衛用の武器を所持せずの立ち入りであった。

現場から連絡を受けた管理センターはGPSによる追跡をしたところ、恐竜は防壁内部に居ることが判明。恐竜には熱カモフラージュの性質があり、単にそれを利用して、熱カメラに映って居ないだけであった。

内部にまだ恐竜が居るとの連絡を受けた三人であるが、それと同時に姿を現した恐竜と遭遇。このときに飼育員一人が恐竜によって殺害された。

生き残った調教師と飼育員は脱出を開始。しかし、このとき脱出に使ったのは恐竜用の巨大ゲートであった。二人は脱出には成功したが、巨大ゲートであるため閉鎖に時間が掛かる仕様であり、完全に閉まりきる前に恐竜の突撃を受け、ゲートは破壊された。こうして凶暴な肉食恐竜が脱走するという事態が発生したのであった。

飼育員は車の陰、調教師は車の下にそれぞれ隠れたが、恐竜は飼育員を殺害した。調教師はガソリンを被って体臭を消すという方法で恐竜に発見されず難を逃れた。そして、恐竜は森の中へと逃げ込んだ。

その後、当テーマパークの捕獲隊が直ちに出動したが、その捕獲隊も全滅した。

原因

重大情報の横展開の欠如

飼育中のインドミナス・レックスは遺伝子組み換えによる全く新種の恐竜である。この恐竜は、熱カモフラージュするという恐るべき特性を持ち合わせており、熱源カメラに姿が必ずしも映らない。開発部門はその性質を把握していた可能性があったが、その情報は飼育部門に展開されていなかった。このことが現場での誤判断や対処の誤りを招いた一因となった。

確認手段の不備

上述の恐竜は熱源カメラに探知されない性質を持っているが、当該恐竜に対して所在を確認するために従前通りの熱源カメラを用いていたのは不適当である。これも上記の横展開不備により、飼育部門が飼育対象の性質をよく把握しないままに従来通りの監視手段を採用させてしまった。

情報確認の不徹底

恐竜の監視は熱源カメラ(現場からも確認可能)とGPSの二通りで行えたが、GPS情報は管理センターに問合せねばならなかった。しかし、現場の職員は熱源カメラの情報のみで恐竜が脱走したと判断。管理センターへのGPS情報の問合せを怠って、最終確認のために防壁内部に独断で入ってしまった。

恐竜が脱走したかもしれないという状況下において、素早い対処と判断をしたいがために、手間暇が掛かる情報の確認が省略されたことが、結果として今回の事態を招いた。

脱走防止対策の不備

ゲートは多重化がされていなかった。このため、一度の突破が被害の際限なき拡大を招いてしまった。これを防止するためにもゲートを二重化するべきであった。

防壁の強化工事は行っていたが、同時にゲートの多重化や強化はできたはずである。

対処

その後も捕獲部隊が波状的に出動し、事態の収拾に当たった。

対策

  • 飼育対象の性質は関係部門で共有する。特に開発部門と飼育部門は意思疎通に齟齬が生じやすいので、管理部門はその齟齬が発生しない様に尽力すべきである。特に新種の恐竜はそれを徹底すること。現場レベルでは、飼育する恐竜ごとに管理に関る性質のマニュアルを常備しておくこと。
  • 恐竜の所在情報は飼育員にとっては大変重要な情報である。タブレットなどで容易に確認できるようにすることが望ましい。
  • 情報の確認手順は明文化する。
  • 飼育対象の性質に応じた監視手段を用意する。
  • 肉食恐竜の防壁内部には無断で入らないようにする。また、立ち入るときは武器の携行を義務付ける。

知識化

  • 安全に関る全ての情報(今回の場合は恐竜の所在)は現場からも容易かつ即座に確認できるようにする。
  • 情報の確認手順はマニュアル化する。
  • 飼育対象の重大な性質は全ての関係部門に展開させること。
  • 危険な場所へは無防備かつ無断で入ってはならない。
  • 安全機構は多重化すること。

背景

当テーマパークはマンネリ化を防ぐために、新規アトラクションや新種の恐竜の導入を定期的に実施しており、今回のインドミナス・レックスもその一つである。この対策が功を奏して収益も右肩上がりであったが、経費も比例して増大することも経営側には頭痛の種であった。このため安全管理に対する資金投下が抑制的になりつつあり、抜本的な安全対策を取って居なかったことが、今回の事故を引き起こす土壌になっていたことは否めない。

後日談

この脱走がきっかけとなって、当テーマパークが崩壊することになったが、詳細は劇場にて確認されたい。

シナリオ

主シナリオ

組織運営不良、不注意、手順の不遵守、誤判断、調査・検討の不足

死傷者

死者数 2名(飼育員)
10名以上(第一次捕獲部隊)
負傷者数 不明