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テクデップ(Techdep)

コンピュータ、プログラミング、DTP(InDesign)に関する備忘録

物語の構造が剥き出しの「マッドマックス 怒りのデスロード」

ネタバレ注意

友人達と「マッドマックス 怒りのデスロード」を鑑賞しました。その界隈で良い意味であれな感想しか飛び交って居ませんが、マッドマックスは物語の構造に実に忠実でしたので、今までのエントリの例に倣って、物語論から解釈しましょう。



物語の構造

それでは、いつもの流れです。

日常

序盤ではマックスが、この界隈を支配するジョーの私兵に連れ去られる場面から始まります。そして、砦に連行されて「輸血袋」という家畜同然の扱いを受けます。

日常のくだりでは、この世界が北斗の拳的な世界であることを示したというわけです。

第一関門突破

第一関門突破は、物語の主人公であるフュリオサの逃亡劇(とは言っても、終始逃亡劇ですが)のくだりです。

支配者ジョーの妻達を連れ去って自らの故郷へと戻り自由を摑む旅に出るわけですが、当然、討伐隊を向かわされます。討伐隊を砂嵐の中に入ることで捲くまでが第一関門です。

テスト/仲間/敵対者

フュリオサの逃亡劇は続きます。峡谷を抜けるまでがマックスやニュークスが彼女らの仲間として確定するくだりです。五人居る妻のうち一人が戦闘に巻き込まれて死んでしまうなど仲間の間引きもあります。また、この段階でジョーを始め、人食い男爵、武器将軍など敵対者の面々も固定されます。

彼女らに対するテストは、峡谷でのカーチェイス、そして、武器将軍からの追跡でしょう。

テストを通過した後、フュリオサは生まれ故郷に到達します。この生まれ故郷で、フュリオサが所属していた部族の仲間とも再会し、仲間の面々の固定が完了します。

危険な場所への接近

さて、フュリオサの生まれ故郷は「緑の土地」と呼ばれていたわけですが、この十数年の環境汚染で死の大地と化して居ました。到達すべき場所はもう無くなっていたのです。
マックスを除いた彼女達はバイクに乗り、さらに東へ向かって、大塩湖を抜けようとします。その先にまだ緑が残っている土地があるかもしれないという考えたからです。これは賭けであり成功する見込みはほとんどありません。

しかし、マックスの提案によりジョーの砦へと戻ることになります。これは彼女らの真に到達すべき場所を明示するくだりです。

このくだりでフュリオサ達は「宝」を入手します。その宝とは「植物の種」です。この汚染された世界において、植物の種は命をつなぐ貴重なものです。

最大の試練

最大の試練は、元来た道を戻り峡谷を抜けるくだりとなります。当然、ジョーを始め敵対者の烈しい妨害を受けます。

烈しいカーチェイスでありながら、無事にフュリオサは宿敵ジョーを倒すことに成功します。

帰路

さて、ジョーを倒してもなお残っていた敵は戦意喪失することフュリオサ達を追跡します。この残党(ジョーの息子と、ドラム&ギター隊)が追跡者に該当します。

マッドマックスは、帰路が烈しい逃亡劇であることを忠実に守るわけですが、この残党はニュークスの文字通り捨て身の活躍により掃討されます。

再生

無事、ジョーを倒すことに成功したフュリオサ達。しかし、フュリオサは戦闘による傷で死の危険に陥ります。失血で死にそうになっている彼女を、マックスが彼女に直接輸血をすることで救います。

無事に彼女は息を吹き返すわけですが、まさにこのくだりは再生そのものです。

帰還

そして、フュリオサ達は砦に戻りますが、彼女らは群衆から怪訝な視線で迎えられます。しかし、ジョーの死体を群衆に見せることで、彼女らに対する視線は英雄に対するものに転じます。敵から守り抜いた植物の種もしっかりとあり、宝を携えた英雄の帰還のくだりが示されます。

歓喜に沸く群衆から称えられる中、砦に入るフュリオサ達。ただし、マックスはまた放浪の旅に出ることを示唆して終幕します。

物語の構造が剥き出し

冒険への誘い、拒絶、賢者との出会いのくだりがありませんが、世紀末的な作品ではこのくだりはほぼ不要でしょう(拒絶するような人物は死が待っているわけですし、フュリオサは既に戦うための力である「武器」を持っているわけです)。

所謂、人物の内面の掘り下げなどはほとんどありません。ただただ、物語の構造が剥き出しです。構造に忠実だからこそ人物の掘り下げがなくとも、娯楽作品として素晴らしい出来になって居るのです。最高に馬鹿だけど、最高に面白い作品でした。是非ともお勧めです(鑑賞された帰りは車の安全運転を心がけてください)。